アラーム音

電車の中で突然なりだしたアラームにドキッとする。その音に一瞬電車の中は不思議な静けさに包まれ、私はこんな時間にアラームをセットしたかな、と思わず自分のiPhoneを確かめる。
あぁ、自分じゃなかった。

少し離れた席で、ビクッと座席から背筋をただす人が見えた。と同時にその人の手元から携帯電話がするりと落ち、電車のかたい床にゴトンと大きな音を立てて落ちた。

床に落ちた携帯電話からはアラーム音は聞こえてこない。
しきりにそのスーツを着た男性は、ポケットやカバンなどあらゆるところを手をあわただしく動かしながら、音のありかを探しているようだった。

ようやくもう1台の携帯電話を見つけて音を止めることに成功したと思った時、列車は大阪駅へと到着した。あわててひらくドアへと向かい、外へと飛び出し、人波へと消えていく男性の背中を見送った。

乗り過ごさないようにアラームをセットしていたということなのか。
少し疲れているようにも見えた。大丈夫かな、、、なんて少し気になった。

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