働き続けるわけ⑤

自分がそこまでキャパシティーが広いわけではないことを自覚しているが、自分がこれまでかかわってきた人、これからかかわっていく人をできる限り大切にしたい。「これから先どうしたらいいのか悩んでいる」という後輩の相談に対して、これまでの私ができる提案はあくまでも企業の中での方法に限定されていた。なぜなら私自身にそれ以外の経験がなかったからだ。
「大丈夫だよ、じぶんでやってみなよ」と気軽に声をかけることはできなかった。だってもしかしたら全然大丈夫じゃないかもしれない。だけどこれからはそれを自分が言えるようになれたらとは思う。

「会社のための人材確保」よりは「その人にとって何が最善か」を優先させる方が、結果的にどちらにとっても良いことも知っていたし、自分の人生に責任を取ることができるのは自分でしかないのもこの年になれば誰かに教わらなくともおのずとわかる。人のことを他人がとやかく言うことではないし、「あなたの幸せはこれでしょう」と誰かに決めてほしい人なんていないんじゃないかと思う。(もちろん人生に迷ってどうしようもない時には、そういった言葉に救われることがあることも知っているけれど。)だけど踏み出す勇気が出せない人は、世の中意外と多いんじゃないだろうかと思う。少し前の私がそうだったように。

私のこの選択が、自分の身近にいる人にとって一つの提案になればいいな、と思っている。自分を削ることや家族との時間を犠牲にすることで「社会の一員でいる」のではなく、自分を大切にして周りの人も大切にして、たくさんのお客様を幸せにできる方法がきっとあるはず。そう信じている。
自分のためだけにはがんばれなくても、誰かのためなら頑張れる。とても頼りなくちっぽけなものだけれど、私が働き続ける理由はここにある。

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