働くようになってからわかったこと②

今のこの会社に出会い、価値観がとても自分にあったこともあり20年近く勤めることとなったわけだけれど、そうすると時間の流れとともに自分の役割も変化していった。自分自身がお客様に直接かかわり楽しんでいただくことよりも、ここで働く仲間がどうやったら楽しく生き生きとやりがいをもって働き続けることができるかを考えることが、いつしか自分自身のミッションになった。

おそらくそれまでは、私も先輩たちにそんなふうに守られてきたのだろうと思う。実際に役割をいただいたときに先輩の気持ちがわかり、生意気だった自分が恥ずかしくなることもしばしばあり、あの時はすいませんでしたと直接お詫びをしたくなることもある。あの時あの瞬間に戻って、なにもわかっていないのに先輩に偉そうに意見している自分の口をつねりたくなったりもする。そのくらい先輩にとっても難しいことだったんだと今は痛いほどわかる。

それはさておき、なんとなく自然な流れで「仲間が楽しく働き続けるためには」という重要な役割を任せていただけたのだけれど、自分の力不足でなかなかうまくいかないことが多かった。もちろん仲間が幸せでいてくれるためなら何でもやろうと思っていた。みんながお店でお客様を幸せにしてくれるのなら、私がみんなのことを幸せにできるように頑張る、と、今思えばおこがましすぎてなんて思い上がりだろうと思うけれど、その時の自分は本気でそう思っていた。本当に難しいことだったし、その役割を解かれた今もできていたかを振り返れば、仲間や先輩方、家族が私を助けてくれたからもっていたようなもので、私自身はおそらく全然だったような気もする。

難しいトラブルが起こったときに解決させることも自分のミッションの1つだった。
ただ花が好きでお客様に喜んでいただくことがうれしくてやってきた自分にとって、役割が変わったからと言って「法律」とか「保障」とか、まったく学んでこなかった分野はとても苦手なところで、正直なところ逃げたくなることもしばしばあった。それをしなかったのは、先述したように仲間を絶対に守るという私なりのちいさなプライドが、折れそうになる時になんとか自分を奮い立たせてくれたのだと思う。だけど、これ、もしも自分が解決できなかった場合ってどうなっちゃうの?みたいな不安はいつもそばにあって、普段あまり何も考えていないような私でさえ、預かっていることの重みを感じては気持ちが沈むこともあった。